1000の小箱展

うにょうにょカンカク大賞
うにょうにょ/鉢嶺 渚


カンカク大賞ジュニア部門
ホーゥルィー/小山 裕美子

第1回 1000の小箱展 (2003年)

うにょうにょ/鉢嶺 渚

ホーゥルィー/小山 裕美子

水疱瘡採集/中村 古都子
存在/室 麻衣子

カラカラ/井上 綾

GENETICA Ⅱ  GENETICA Ⅴ/アルトゥーロ コリア

とびこめ!インド③ 心配するな安心するな/鹿子 常永
YOUR BOOK/小山 聡子

仲間たち/阿部 幸治

心の木-箱/古屋 涼子
『Y』/月永 理見

絵本「ご主人は今日も大忙し」/青木 玲子 >

喜怒哀楽/伊藤 正智
布絵本/本田 まき

おれのいでんしはイヌになる。おれのいでんしはネコになる。/我虫 月平
WAR BOX/Marius Paul O'shea

人魚を呼ぶ本/増田 学身

コンチェルト/大塚 尚子

 

オレ様/畠山 華歩

パラパラマンガ 丸木さんと花ちゃんと/青木 みさき

ヒラメ/菅生 さやか

悪にうばわれたカギをとりもどせ/鈴木 秀鷹

ケーキ屋さん/本田 あや

今の地球の現状/郡山 幸憲

六角 鬼丈六角 鬼丈
建築家、東京藝術大学建築科教授


 この小箱たちは創造世界が送るメッセージのネットであり、新しいコミュニケーションの役割を果たす装置といえます。閉じていればただの物入れですが、一度引き出せば作意に満ちた思い思いの世界が飛び出してきます。
今回、はじめての公募展が企画され、日本だけでなく海外からも参加してくれたことは大変喜ばしいことでした。応募された作品は、案の定、こだわりとアイ ディアのオン・パレード、ロマンチックな幻想や郷愁感に満ちた物、社会的な批評や風刺から、果ては悪巧みや異次元世界への挑戦などが垣間見える。物が小さ いから、手にとってみたり、覗き込んで内容をこまめに読まされてしまう物も少なくない。子供たちの物では予測に反して、ドキッとする怖いものを見せられた り、マニアックな手作業や詩的な絵本、心象的なフィールドワークの記録などに感心したり、少々、ムッとさせられたりもしながら、たくさんのメッセージを贈 られた審査だったといえます。
そんな中でカンカク大賞に選ばれた「うにょうにょ」は、大変気に入ってしまいました。箱一杯に詰め込まれた白と赤の布袋が、人を飲み込んで「得体の知れ ないパフォーマンス」を誘発していく様は、体験と観察という二つの場面を楽しめ、寸法の無限、内外の反転、体内復帰やミクロコスモスの世界へと誘ってくれ る魅力的な作品として評価されました。
このユニークな公募展が、これからも毎年続けて開催されることを期待しています。

高山 登高山 登
造形作家、宮城教育大学教授


 小箱の中に思い思いの世界を繰り広げようといろいろ工夫を凝らした作品を見るのは楽しいものです。そして何か、誰かに伝えたいとの思いがそれぞれの作品にありました。
20年程前、物体と霊的な観念に置きかえる象徴的な表現を一貫して追求していた「ジョセフ・コルーネ」という1903年生まれのボックスアートの先駆者 の作品を見たことを思い出します。今日、何か大きくなっていく作品の中で、小さなボックスアートの中に独り言の様な世界でありながら、イメージが心の中に 切なく広がっていくのを覚え、驚きました。
今回興味を感じたのは「うにょうにょ」という作品です。これは何だろう。赤い袋の様ですが、指示されるまま着てみる。そして袋の中で動いてみる。不思議 な感覚におそわれもがいてみる。その動きを外から見ていても面白い。まるで舞踏の様だ。一方向性の視覚表現から別な体感を体験し、又他者としてもそれを見 ることが出来る面白い作品でした。

石田 智子

石田 智子
ファイバーアーティスト

 

 私は、どういうわけだか「箱」というだけでワクワクする。浦島太郎の玉手箱は、箱を開けたら太郎自身が一瞬にしておじいさんに なってしまい、家族がすでに亡くなっていた事を知り・・・チョット寂しいような残念な気分が残るのだが、この箱にはいったい何が入っていたのだろう。見た こともない世界を体験し、一瞬にして年齢も変化したのだから「異次元空間」のようなものだ。言い方を変えれば我々には想像もつかない「時間」と「空間」が 詰められた玉手箱と言えるだろうか。又ドラえもんのお腹のポケットはいろんなものがいっぱい出たり入ったりする。ポケットにしまわれたものは、どんな風に 詰まっていくのだろうか。ポケットに入る瞬間に物が細分化されて分子や原子又は素粒子のような状態になり形も体積もなく詰まっていき、ドラえもんの一声で それらが又合体して一つの形になるのだろうか。
私が「箱」が好きなのは、限定された小さな空間から如何様にも展開し、宇宙までひろげられる可能性のせいかもしれない。そこにはマクロの世界を感じられ るし、逆に空っぽの箱を見たとしても、私の目に見えない程小さな生物が生きていて、もしかしたら彼らは私達が地球と感じているくらいの大きさに、その限定 された小さな箱を宇宙と感じているかもしれない、というようなミクロの世界をも感じるからだ。
今回「1000の小箱展」に寄せられた作品を見せていただいたが、物語が展開したり、人間が中に入れる作品が出てきたりと興味深い作品も多かった。ただ 唯一残念だったのは応募数が少なかったことだろう。今後は、数も増え、作品達が勝手に引き出しを行き交うくらいのパワーを持つことを期待している。

 
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