1000の小箱展

Spirits/半田元太郎カンカク大賞
Spirits/半田元太郎


自分は自分だ!/梶原 慧太カンカク大賞ジュニア部門
自分は自分だ!/梶原 慧太



「空色のつみき」/いちのへ みのる協賛企業特別賞(四季感動のやまがた大賞)
「空色のつみき」/いちのへ みのる

第2回 1000の小箱展 (2004年)

Spirits/半田元太郎

自分は自分だ!/梶原 慧太

「空色のつみき」/いちのへ みのる

宮城県立西多賀城養護学校
私、きれい?/井苅 貴浩
広げて見て/太田 秀樹
This is for You./三塚 勝司
はずかしい/豊島 裕記

がらくたの王様/鹿野 牧子

冬ばれ/鍜治 文枝

Hush/Faye Neilson

「想いの種」/小林 重予

この子も、ごみの記憶へ。/北村 大士

Japan 2004/中村 古都子

さいしょをさがす/古屋 涼子

こんにちは/川谷 武弘

ストーン・ペイント/土田 美香子

Dragonfly/増泉 由子

Sea Urchin/Amanda Robinson
大きい街小さい街/小山 聡子

in my room/濱野 恵

キコエマスカ/大石 百合子

合唱/柳沢 文子

 

福袋/佐久間 里沙
メカゴジラ/佐々木 恒祐
Kアルバム/高橋美紅・小野寺千里・石井未来

線の言葉展/青木 みさき

瀬峰町立瀬峰中学校
リアルな野菜/狩野裕亮・細川脩・片倉唯・佐藤恵太・宍木美奈

車/今川 忠対勲
「わたし ママねっ!」/高橋 琴音
私のイルカBOOK/福島 絵里子

六角 鬼丈六角 鬼丈
建築家、東京藝術大学建築科教授



 棚から引き出された小箱は、厚み10cm程しかないがA4サイズが何とか入る。
物理的には小さな引き出しだが、人の想像力や知恵はどんなに大きなものでも、無数なものも、さらには途方も無い情報量をしまい込める無限の空間ともいえるだろう。
「1000の小箱」の公募展は2回目を迎え、今年も数多くの作品に出会えたことはうれしく、審査も実に楽しい。何しろアイディアに満ちていて瞬間的に反 応してしまうものと、創作意図を読み取っていきつつ、作者の世界に引き込まれてしまう魔法が仕掛けられているからだ。
目移りする中で、グランプリはコンセプトと表現の双方にすぐれた二つの作品に絞られていった。一つは「Spirits」と題する、卵の殻とダンボールを 加工した作品で、形もユニークだが台座を動かすとプルプル震え、ひしめき合う様子からざわめきや話し声までもが聞こえてきそうである。細工も実に丁寧で感 心させられた。
もうひとつは、「空のつみき」と題された作品で、空が寒天で固められてしまったのか、まるでフリーズされたみたいな空が箱一杯に詰め込まれている。 キューブの各面には青い空と少しずつ動いている雲が描かれ多様に組み合わせが出来る。見事に無限の宇宙がA4版に盛り込まれている。画風も我々の子供の頃 を思い起こす懐かしさにこだわっている。なんとも感心の限り。
さて、子供の大賞は「自分は自分だ!」が選ばれた。力強く思いの深さが伝わってきて、書き絞られたノートが叫んでいる。上手下手を超えた彼の世界が魅力なのである。
他にも丹念につくられた作品達も多くあったが、特に海外からの出品が増えた事もありがたい。審査にNewcastle大学のアン教授が参加してくれた事をきっかけとして、来年はシドニーにも小箱を設置して姉妹ミュージアムを発足して行きたいものである。

北川 フラム北川 フラム
アートディレクター、
アートフロントギャラリー代表


 千の小箱はいろいろな人たち個人の美術館、宝物入れ、日記が集大成できうるコミュニケーションBOXで、このアイディアは秀逸です。昨年新潟県の松之山に できた自然科学館「森の学校」でもこのやり方で「住民BOX」を作らせて頂きました。「わ・た・し」の大切なもの、気持ち、がやわらかく、あたたかく「他 者」に伝わっていく仕掛で、「宛名のない手紙」として美術の原点ではないか、と日頃から思っていました。今回の審査に参加して、多くの人、さらにプロ フェッショナルな人から、子供たち、お年寄りまで応募されているのが嬉しかったし、楽しい作品がありました。
審査員として一言述べさせていただくとすれば何も知らないBOXをひっぱりだすときに、一瞬、だけれども徐々に見えてくるという抽出しという仕掛け、機能をうまく使うともっと楽しくなるのに、と思いました。これは英語でmother of pearlというそうです。母から娘へと伝えられる仙台箪笥に入った宝物。赤いサラファン。時の贈りもの。なつかしい世界が飛び出してきてほしいのです。

Anne Graham

Anne Graham アン・グラハム
アーティスト、
Newcastle University芸術学部長


The exhibition of small boxes at the Kankaku Museum provides a wonderful display of creative talent. There are many diverse approaches taken by the artists ranging from documentary photography, painting, sculpture, weaving and ceramic art. It is also inspiring to see work, not only from established artists, but from other enthusiastic participants from a wide range of ages including small children! Many of the children made drawings and little books about their homes and activities these offer a refreshing and innocent view of the world. One beautiful work focused on first memories, another on the different experiences of being in the city or the country. Many of the works responded to nature, for instance a beautiful piece of weaving which looked like soft snow, and the extraordinary sculptural work of nodding cicadas that seemed to be emerging from the ground. An exhibition of this kind brings the community together and provides an insight into the skills and interests that are important to them.
The Kankaku Museum houses these works in a beautifully designed room lined with drawers, each drawer will contain a work. This room eventually will contain the history of a period of time in Iwadeyama, it will become a portrait of the place and its occupants. This is a unique concept which places the community in the heart of the Kankaku Museum and opens the museum to the people. The concept of the Kankaku Museum is experiential, it is a Museum about life and the senses, it is to be enjoyed by everyone. Here everyone has a place and every artistic creation is valued and respected.
I encourage everyone to take part in the future in this collaborative event and look forward to further involvement with our community in Newcastle.
I congratulate the Director of the Museum, Keiko Chiba, for this innovative and delightful exhibition and I also congratulate all the participants for their wonderful work.

 感覚ミュージアムの小箱展では創造的な才能に溢れた素晴らしい展示をしています。写真、絵画、彫刻、織り、陶芸などのさまざまな種類のアートによる取り 組みの作品が並べられています。もちろん、プロのアーティストだけでなく子供を含む幅広い年齢層の熱のこもった作品には元気付けられます。子供たちの多く は、ドローイングや自分の家庭についてかいた小さな本や、遊びの中から生まれた無邪気な世界の作品をつくっています。
出品された多くの作品は自然を連想させます。例えば美しく織られた一枚の布は柔らかい雪のようであり、また、蝉の抜け殻が土の中から這い出てくるような びっくりする彫刻作品もあります。このような展覧会は、コミュニティにとって、モノをつくる技能とそれに関わりたいという気持ちを引き出すことが、どんな に大事なことかを示してくれることでしょう。
感覚ミュージアムのとても美しくデザインされた引き出しの並ぶ部屋のそれぞれの引き出しの中には、これからも作品が入れられることでしょう。最終的にこ の部屋の引き出しには、岩出山のそれぞれの時代の歴史が詰められ、それぞれの引き出しの中身が生き生きと語りだすようになるでしょう。これはとてもユニー クなコンセプトで、感覚ミュージアムの心となるコミュニティの場であり、人々にミュージアムを開放する場でもあるのです。感覚ミュージアムのコンセプトは 生きることと感じることを体験することで、それは誰もが愉しむことが出来るでしょう。
ここは誰もが芸術的な創造を大切にし、尊敬することが出来る場です。私は、私達のNewcastle大学のみんなに、1000の小箱を一緒にやっていき ましょうと呼びかけます。この革新的でわくわくする展覧会と、素晴らしい作品を創ったすべての出品者に心からおめでとうを言います。

 
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第3回 1000の小箱展
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第4回 1000の小箱展
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第5回 1000の小箱展
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